摂津金属工業株式会社
19インチラック・ケース・トランク・サブラックなど、「ハコ」づくり一筋の専門メーカー

ASA樹脂とは?ABS樹脂との違いについて


執筆:技術部製品戦略課

公開日:2024/10/22

突然ですが、普段使っている製品の素材に目を向けたことはありますか?実は、製品の使い勝手や見た目、耐久性などは、素材選びが大きく影響しています。プラスチックの場合、一般的にはABS樹脂という素材が多くの製品で使われていますが、近年注目されているのがその進化形であるASA樹脂です。

今回は、ABS樹脂とASA樹脂に焦点を当て、それぞれの違いを紹介していきます。
樹脂製品を使うシーンによって、どの素材が最適なのか、次に製品を選ぶ際、今回ご紹介する知識が役立つかもしれませんよ!

 

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1.ABS樹脂とは

コスト・加工・堅牢性にすぐれた 樹脂素材のパイオニア

ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、強度と加工性に優れた汎用プラスチックで、電子機器や日用品など、幅広い製品に使用されています。
各メーカーが採用しているその最大の魅力は、コストパフォーマンスの高さにあります。比較的安価で、大量生産に向いているため、非常に扱いやすい素材です。また、成形性にも優れており、複雑な形状の部品を効率よく作れるのも大きな利点です。さらに、衝撃に対する耐性が高く、強度の面でも堅牢な製品を作ることが可能です。

しかし、弱点もあります。まず、ABS樹脂は紫外線に弱いんです。例えば、長時間屋外にさらされると、色褪せや劣化が進んでしまうため、屋外での使用には適していません。
また、ABS樹脂は耐候性が低いため、気候変動や湿度の変化によって素材が脆くなる可能性があります。
さらに、特定の化学薬品に対しては耐性が弱いため、使用環境によってはこの点がネックとなることもあります。

このように、ABS樹脂は「コスト」「加工」「強度」と多くのメリットを持ちながらも、使用環境によっては慎重な選択が求められる素材です。

2.ASA樹脂とは

ABSの弱点をカバーした新素材

ASA樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)は、さきほどのABS樹脂と似た構造を持ちながら、耐候性や美観の保持力において優れた特性を発揮する高性能樹脂です。特に屋外での使用を想定した製品に多く採用されており、紫外線や気候変動にも強く、看板や外装パーツなど、長期間太陽に晒される製品に最適です。また、衝撃や摩耗にも強く、長期にわたって耐久性を保ちます。ASA樹脂はまた美観の保持力にも優れており、色褪せが少なく長期間にわたり新品同様の美しさを維持できるため、デザイン性が求められる製品にも最適です。

さらに、化学薬品に対しても強い耐性を持ち、産業用途においても高い信頼性を発揮します。紫外線や気象条件の変化にも耐えるため、頻繁なメンテナンスを必要とせず、結果的に手間が少ないという利点もあります。しかしながら、その分コストがやや高いという点がASA樹脂のデメリットです。初期投資としてはABSよりも高くつく場合がありますが、長期的なパフォーマンスを考えると、その価値は十分に見合うといえます。

3.ABS樹脂とASA樹脂の違い

これまでの紹介を踏まえ、ABS樹脂とASA樹脂の主な特性を分かりやすく比較してみましょう。

特性 ASA樹脂 ABS樹脂
耐候性 優れている。
紫外線や気候変動に強く、色褪せがほとんどない。
弱い。
紫外線による劣化や色褪せが発生しやすい。
耐久性 衝撃や摩耗に強く、長期間使用に耐える。 衝撃に強いが、長期使用では劣化の可能性あり。
外観の保持 美しい外観を長期間保つ。
光沢があり、色褪せしにくい。
外観が劣化しやすく、特に屋外では色褪せが早い。
コスト 初期コストは高いが、
長期的にコストパフォーマンスが高い。
コストが低く、大量生産に適している。

ASA樹脂は屋外や紫外線のよく当たる場所での使用など、長期使用が求められる製品において圧倒的な強みを持ちます。例えば、屋外看板では紫外線に強く、色褪せがほとんどないため、長期間鮮やかさを保ちます。また、アウトドア機器や窓際で使用するケースなどでも、耐候性と美観の保持力が高いため、安心して使用いただけます。

これにより、ASA樹脂は多様なシーンでその特性を最大限に活かし、メンテナンスの手間が少なく、長期的なコストパフォーマンスを提供することができます

4.ASA樹脂を使用した製品の紹介

摂津金属工業では、ASA樹脂を採用したケース製品(OKW)を数多く提供しています。まるで化粧品のような美しいデザイン性もOKW製品の魅力なのですが、その優れた素材から屋外設置の機器や装置にも採用されています。ASA樹脂を使っているケースをご紹介します!

5. まとめ

いかがだったでしょうか。ABS樹脂とASA樹脂は、それぞれに特有のメリットを持ちますが、屋外での使用や長期間の耐久性を考える場合には、ASA樹脂が圧倒的に優れた選択肢だといえます。高品質で長持ちする製品をお考えでしたらぜひASA素材をご検討ください。
また、使用用途に合わせて特注仕様で材料の変更も可能ですので、何なりとお申し付けください!
下の問い合わせフォームよりぜひ一度、お気軽にご相談ください!

最後に、「ASA樹脂とABS樹脂以外はどうなの?」「〇〇に使いたいけど、どれを選定すればいいんだろう?」と疑問に思った方。よければこちらのコラムも覗いてみてください!

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