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執筆:技術部製品戦略課
公開日:2025/8/26
“サーバーの高密度化”や“AI処理の一般化”によってここ最近急増しているのが、ラックの「冷却」に関するお悩みです。
「空冷だけではもう追いつかない」――そうした声から、今注目されているのが、【水冷式ラック】という冷却ソリューションなんです。
でも、
「水冷(液冷)ってどういう仕組み?」
「水を通せばどのサーバーでも冷やせるのかな?」
「CDU(冷却分配ユニット)やマニホールド(Manifold)と言われてもさっぱり…」
と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、初心者の方にもわかりやすく、以下のポイントを丁寧に解説していきます。
これからの高発熱サーバー運用に必要な冷却の知識として、ぜひご一読ください。
水冷(Liquid Cooling)とは、その名のとおり「水の力を使ってサーバーの熱を冷ます」冷却方法です。
たとえば、熱いミルクが入った哺乳瓶を冷やすとき。うちわで風を送るよりも、水を流した方がすぐに冷えますよね。
水は空気よりも熱をすばやく、たくさん運ぶことができるため、冷却効率が非常に高いのです。
この原理をサーバー冷却に応用したのが「水冷(液冷)」です。サーバーの中で発生した熱を、サーバー内部に組み込まれた冷却機構を通じて水(液体)に乗せ、効率よく外へ逃がします。
現在のデータセンターの多くは『空冷(Air Cooling)』と呼ばれる方式で、ラックの前面から空気を取り入れ、背面へと排気することでサーバーを冷却しています。
この空冷の仕組みはデータセンターをはじめ多くの場所で長年採用されてきたシンプルかつ信頼性のある方式なのですが、近年ではそれだけでは追いつかない場面が増えてきました。
というのも、AIや映像処理などに使われる高性能なサーバーでは、CPUやGPUが非常に大きな熱を発生させるからです。そうした熱を効率よく逃がすために今、空気よりも圧倒的に熱を運べる【水(液体)】が求められているのです。
水は空気に比べて熱を運ぶ能力(比熱・熱伝導率)が圧倒的に高いため、次のようなメリットがあります。
・より高密度なサーバー配置が可能(空間の有効活用)
・空調設備の縮小が可能(省エネ・省スペース)
・ハードウェアの安定稼働につながる(サーバー機器の熱暴走・故障のリスク回避)
こうした冷却効率の高さから、特にAIやHPC(高性能コンピューティング)分野では、高性能サーバーをより多く搭載したいというニーズに応える手段として、水冷を前提としたシステム構築が広がりを見せています。
では水冷式のデータセンターラックを実現するには、どのような機器や技術が必要になってくるのか。ここでは代表的なものをご紹介します。
水冷に対応したサーバーには、水を通すための「冷却プレート(コールドプレート)」や「ヒートエクスチェンジャー(熱交換器:Heat exchanger)」が予め組み込まれており、直接CPUやGPUに触れることで熱を取り除きます。これにより空気よりはるかに効率的な熱移動が可能です。
ここで重要なのは、水冷に対応していない一般的なサーバーではこの冷却方法は適応できないという点です。水を通すための内部構造や冷却経路が設計段階から組み込まれている「水冷専用サーバー」が必要です。
「既存の空冷サーバーにあとから水を通せば冷えるのでは?」と思われがちですが、そうではありません。
現在では多くの主要サーバーメーカーが水冷対応モデルを提供しており、選択肢も年々広がっています。
CDUとは、サーバーから回収した温水を冷却し、再び冷水として戻すための「冷却水循環装置」です。ビル全体の水冷設備とサーバールームの間をつなぐ、いわばポンプと冷却器の複合ユニットのような役割を果たします。
マニホールドは、冷却水を複数のサーバーへ均等に分配・回収するための配管装置です。ラック内での冷却水の流れを整える、配管の“ハブ”的存在です。
水冷方式でサーバーを冷却するには、冷却水をサーバーに届け、熱を回収し、再び冷やして循環させるための「配管」「分配機構」「循環機器」など、さまざまな設備が必要です。それらをラック単位でシステムとして構成したものが「水冷ラック」です。
摂津金属の水冷ラックには、主に以下のような特長があります。
・強度検証済みの安全設計で水冷サーバーを安心収納
・マニホールド・CDU・配管に配慮した奥行きゆとり設計
・配線・配管を整理しやすい内部構造
水冷ラックは「水を通すだけの箱」ではありません。サーバーと水冷機器、配管・冷却制御の橋渡しを行う“冷却インフラのハブ”としての役割を担っているのです。
いかがだったでしょうか。水冷は空冷に比べて冷却効率が圧倒的に高いため、「サーバーの高密度配置」「省エネルギー化」そして「安定稼働の実現」に貢献する、【次世代の冷却方式】と言えます。
すべてのデータセンターにいきなり水冷が必要というわけではありません。ですが、GPU集約型のワークロードやAI・HPC用途が増える中で、「一部のラックだけ水冷に対応させたい」というニーズは着実に高まっています。
「水冷って難しそう」
そう思われる方にもわかりやすく、SETTSUでは導入しやすい形での提案を心がけています。データセンターの冷却、次の一手を考える際に、ぜひ“水冷”という選択肢を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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