IP保護等級とは│電子機器の「耐久力」を示す重要な指標を解説

執筆:代表取締役社長
公開日:2025/2/25
スマホや家電のスペックを見ていると、IP68とかIPX4みたいな記号を見かけることがありますよね。実はこれ、「IP保護等級」と言われ、その製品がどれだけ水やホコリに強いかを表すものさしなんです。よくネットショッピングで、製品の画像と一緒に【完全防水!IP〇〇】と書かれていると「なんとなく防水っぽい?」くらいのイメージで済ませてしまいがちですが、この数字やアルファベットにはしっかり意味があるんです。
今回は、IP保護等級についてゆるっと解説していきます!
1. IP保護等級とは?
IP保護等級(Ingress Protection Code)は、電子機器や設備が固形物(ホコリなど)や液体(水など)からどれだけ保護されているかを示す国際規格(IEC 60529)です。たとえば、スマホのCMで目にする「IP68」みたいな表記の意味を分解すると、こうなります。
IP:Ingress Protection(侵入防止)の略。要するに「どれだけ外部から守れるか」
数字1桁目(固形物への耐性):ホコリや異物がどれだけ入りにくいかを示す。
数字2桁目(液体への耐性):水に対する耐性レベルを表す。
2. 各数字の意味を理解してみよう
IP保護等級の数字には、それぞれきちんと意味があります。簡単な表にするとこんな感じです。
固形物への耐性(1桁目の数字)
1桁目の数字 | 耐性 | |
---|---|---|
0 | 無保護。何でも入り放題。 | ![]() |
1 | 直径50mm以上の固形物侵入を防ぐ(手とか)。 | ![]() |
2 | 直径12.5mm以上(指くらい)。 | ![]() |
3 | 直径2.5mm以上(細い工具など)。 | ![]() |
4 | 直径1mm以上(針金とか)。 | ![]() |
5 | ホコリの侵入を防げるレベル。ただし完全密閉ではない。 | ![]() |
6 | 完全密閉。ホコリが絶対に入らない。 | ![]() |
液体への耐性(2桁目の数字)
2桁目の数字 | 耐性 | |
---|---|---|
0 | 無保護。水に弱い。 | ![]() |
1 | 垂直に落ちてくる水滴に耐える。 | ![]() |
2 | 角度15度まで傾けても垂れてくる水滴に耐える。 | ![]() |
3 | 噴霧状の水(シャワーなど)に耐える。 | ![]() |
4 | 飛沫状の水(全方向から)に耐える。 | ![]() |
5 | 噴流(ホースなど)に耐える。 | ![]() |
6 | 強い噴流に耐える。 | ![]() |
7 | 一定時間、水に沈めても耐える(1m未満)。 | ![]() |
8 | 継続的な水没に耐える(1m以上、深さは製品による)。 | ![]() |
9K | 高温・高圧の水流に耐える(特殊用途向け)。 |
3. IP保護等級が大切な理由
この等級は、ただの数字ではなく、製品の耐久性や信頼性を示す重要な指標です。
アウトドアや過酷な環境での使用(環境を気にせず安心して使用できる)
雨やホコリがかかる場所で使う機器は、IP保護等級が高いと安心感が違います。特にスマホやカメラなどは防水・防塵性能が欠かせません。
法規制や安全基準のクリア(予期せぬトラブル回避につながる)
工場や医療現場などの設備では、一定のIP等級が求められることがあります。適合する製品を使うことで、トラブルを防ぐことができます。
安心感と長寿命(長期使用の保証になる)
水濡れやホコリによる故障が防げるので、製品の寿命が延びるのも魅力的ですね。
4. 実際のIP表記の例
一般製品
IP保護等級 | 説明 | |
---|---|---|
IP68 | スマホなどに多い。 ホコリ完全防御(6)、水深1m以上の水没に耐える(8)。 |
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IPX4 | 防滴仕様のイヤホンなど。 固形物の保護は規定なし(X)、全方向からの飛沫に耐える(4)。雨の日や汗でもOK。 |
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IP65 | 屋外用ライトなど。 ホコリがほぼ入らない(5)、ホースからの噴流に耐える(5)。ちょっとした嵐でも安心。 | ![]() |
SETTSU製品
IP保護等級 | 説明 | |
---|---|---|
IP2X | サーバーラックのドアの放熱穴。 ラックは熱を換気するためになるべく開口率を上げたいもの。ですが放熱穴が大きすぎると、外部から機器を操作されてしまいます。SETTSUのサーバーラックのドアは高い開口率を持ちながら、いたずら防止のため、放熱穴は指が入らない大きさで設計されています。 → 19インチラック 一覧 |
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IP54 | 防塵ラック。 倉庫や工場内は木粉や金属粉など様々な塵埃(じんあい)が舞っておりIT機器を保護なしでそのまま使っていると故障の原因となります。その問題を解決するのがDPRシリーズになります。最近では工場でのエッジコンピューティング用にクーラー付き防じんラックも好評です。 → 防塵ラック DPR2 シリーズ → クーラー付防塵ラック DPRC シリーズ |
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IP54、55 | 屋外ラック。屋外の通信設備設置する場合には、雨や風といった気候変動も考えないといけません。また虫や小動物なども油断大敵です。WPRシリーズはそのような自然からの侵入をブロックします。 → 屋外ラック WPR シリーズ 一覧 → 大型屋外ラック WPRS シリーズ 一覧 |
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IP54~65 | 防水プラスチックケース。 用途や使用場所が多岐にわたるのがプラスチックケース。様々な環境に耐えられる必要があります。SETTSUが扱うプラスチックケースは用途に応じて生活防水レベルから完全防水タイプまで多品種取り揃えています。 → 用途別電子機器用プラスチックケース 一覧 |
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IP67 | 防水ハードケース。 持ち運びを前提としているトランクであれば、日常の天候はもちろん、移送中の予期せぬ落下、外部からの衝撃などあらゆるトラブルがつきもの。トランクのエクスプローラーシリーズはNATO軍正式採用の最高レベルの防じん防水ハードケース。あなたの大事なものをしまってください。 → 輸送ケース/ラックケース 一覧 |
5. IP保護等級を知って賢く選ぼう
こんどスマホや家電を選ぶとき、IP保護等級をぜひチェックしてみてください。「この製品ならプールや海辺で使っても大丈夫」「これは雨の日には弱そうだな」といった判断ができるようになると、日常生活がさらに快適になります!
身の回りの製品を改めて見て、「これ、どのくらい水に強いんだろう?」と考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
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